手組(序盤)-手役の方針
今回も前回に引き続き序盤の麻雀戦術のお話をしていきたいと思います。
今回の内容は序盤の手役の方針に関する内容で、
個人的には実戦的な重要度高い内容かなと考えています。
まず手牌の価値を2つの指標によって分類してみます。
その指標は打点と速度です。
打点は
・高い
・安い
速度は
・速い
・遅い
これに沿って分類すると4パターンに分けられます。
〔パターン1〕高い速い
4巡目にメンタンピンドラ1の一向聴など。
これは文句なし。
〔パターン2〕安い速い
4巡目に役牌をポンして1000点の好形の一向聴など。
麻雀は4人の中で一番最初にアガってしまえば失点しないルールなので
速度を満たしている手牌は価値のある手牌と言えると思います。
〔パターン3〕高い遅い
このパターンは混一色が実戦で使いやすい役だと思いますが、
手なりで進めても打点も速度も満たせない、といった想定がされる手牌を
速度は諦めて打点に寄せていく、といった使い方になります。
こういった手牌は、速度が遅いので他家から先制攻撃を受ける可能性が高くなりますが、
その時に字牌を持っている場合が多いので守備面でメリットがあります。
また攻撃面に関しても速度で他家に勝っていれば文句なし。
他家と同程度の速度で捲り合いの勝負になる想定がされる場合でも
打点が高いという手牌の価値で押すことが可能になるメリットもあります。
〔パターン4〕安い遅い
明らかに悪い配牌で手なりで進めても先手がとれそうになく
且つ打点の高い手にもならなそうな場合。
このような手は真っ直ぐ進めてもメリットが薄いので〔パターン3〕を目指すことになります。
〔パターン1〕〔パターン2〕は速度を満たしていて問題なく素直に進めればOK。
問題なのは遅いパターンで〔パターン4〕の配牌が来た時に
如何にして〔パターン3〕の形に持ち込むかが鍵となってきます。
では実戦の牌譜に移ります。
【例1】
この配牌は一見してバラバラ、
ターツ不足で5ブロックの想定が経っておらず
手なりで真っすぐ進めていっても先手をとれる可能性は低い。
→速度『遅い』
→打点『高い』手を目指す
第1ツモで東を持ってきました。
東場の北家なので役牌の対子が2組あります。
役牌の対子2組は混一色を狙う価値のある基準の1つです。
役役混一色で4翻となり満貫クラスで打点が高い手となり価値が上がるからです。
ここでターツの想定をしてみると
23s両面・68s間張・東対子・北対子、あと1ブロック足りません。
なのでここから孤立の南や発は切ってはいけませんよね。
→打9p
ちなみに他の手役としては上の三色なども少し見えるかもしれませんが、
牌がかなり限定されますし満貫効率としてもソウズ染めの方が近いと思います。
【例2】
この手牌も同様に役牌の対子が2組になりました。
完成面子なし両面ターツなし、なので速度面で先手をとれる可能性は高くはなさそう。
手なりで進めるなら孤立牌は南しかありませんが、
南が重なった時の手牌の価値はかなり高くなるので南は温存した方がいいと思います。
またこの手牌は12p/66p/88p/135s/東東/中中で6ブロックあり
ターツオーバーになっています。
5ブロック理論で考えるならば一番価値の低いターツを払っていくことになります。
そうするとピンズ染めに使えないソウズに手をかけることになりますよね。
あとはソウズの何を切るかですが、
万が一七対子になった場合は序盤の河がおとなしい方が出和了しやすいので
ここでは1sがいいかなと思います(微妙)
→打1s
とりあえず南を切らないことが大事かなと思います。
【例3】
こちらは親番でドラの南が対子、
なので積極的にアガリに向かいたいですが、
如何せん手牌はバラバラ。
役牌の重なりは嬉しいので東・白・中は絶対残します。
西はオタ風なので切る手もあるかもしれませんが
実戦はピンズ染めとソウズ染めを意識して2mを切りました。
その後は5巡目に8sを切ってこの形。
ピンズ染めか対々和か役牌かってところでしょうか。
対面がドラを切ってきたのでこれをポンして2枚切れの打白。
役はまだ絞り切れてはいないのですが、
こちらがただ黙って門前で進めていると他家は好き勝手に手を進めて
先制立直を食らってしまうパターンは実戦でよく見かける光景だと思います。
それよりは親のドラポンを見せることによって字牌などを切りづらくさせて
少しでも他家の手を歪ませることができればな、という意識です。
守備面に関しても仮に先制立直を受けても西や中があるので大丈夫かなという認識です。
元々速度が遅い手なので、先制立直を受けてツモられや流局ノーテン罰符のパターンよりも、
アガれなくてもいいので聴牌連荘に持ち込めれば御の字くらいの考えです。
6pが重なってオタ風の西切り。
ダブ東が重なって孤立の中切り。
これで役は対々和かダブ東になりました。
対面から6pが出たのでポンして打4p。
7pツモでダブ東バックの12000聴牌になりました。
こうなれば打点のリターンが高いので押し通す事も可能になりますよね。
残り1枚の東は使えない牌なので向かってくる他家がいれば捉えることが可能。
手なりで進めた場合と比較したらこちらの方が良い進行と言えるのではないでしょうか。
【例4】
こちらもかなりバラバラの手牌と言えそうです。
対子2組で七対子の四向聴ですが、実戦はチャンタ系を意識して打4sとしました。
大事なのはただ漫然と孤立の1sや字牌を切っていくのはよろしくないんじゃないかな、
ということですね。
実戦の進行はうまい具合に手牌が進んで
ジュンチャン三色ドラ1の聴牌になりました。
打点が満貫クラスあれば価値のある手なので
ここまで来た段階で成功と言えるのではないでしょうか。
また守備面に関して、
混一色は字牌が使えるから守備力高いですが、
チャンタ系も字牌や端牌が使えるので守備力高い手になります。
速度面で劣っている手はいつ先制立直を受けてもいいように
受け駒を確保できているかのチェックは大事なポイントかなと思います。
【例5】
マンズ染め・ピンズ染め・七対子をみて打3s
マンズ染め・七対子・チャンタ系をみて打6p
七対子・チャンタ系をみて2枚切れの打東
対子4組で七対子の二向聴に。
七対子・チャンタ系天秤で打南
対子5組で七対子の一向聴。
6s受けがあってチャンタ系不確定なので七対子に絞って打7s
七対子聴牌になりました。
とりあえずドラ待ちにとりますが、
立直するかダマに構えるかは今回の趣旨とはずれるので
ここまでにしておきます。
捨て牌と自分の手牌とを合体させてみて、
単純に牌の組み合わせだけで孤立牌から切っていったら
大した手になっていないのが分かると思います。
889m4699p2378s北北
たぶんこんな手になってます。
全然違いますよねw
【例6】
1巡目何切る。
ここまで読んで下さった方ならお分かりかと思いますが、
南は切らない方がいいですよね。
→打2p
3pツモで両面ができるよりも南ツモで混一色対々和のターツが揃う方が価値が高い
実戦は2巡目に南を持ってきました。
切らなくてよかったですねw
実戦はこんな聴牌形になりました。
役役混一色対々和で12000です。
この勝負形ならばかなり押し通すことになりそうな気もしますが、
一応トップ目なので親リーが入った場合、
あるいは下家からの立直だとラス目にはある程度ツモられてもいいかな、
という感じで仮に降りる選択をした場合にも
字牌が守備面で活きてくるというメリットがありますよね。
手牌分類〔パターン3〕『高くて遅い手』にしておくメリットがよく表れている例だと思います。
【例7】
1巡目何切る。
これも発の重なりを逃すのは激痛です。
手拍子で字牌を切らずにしっかりと9pを切りたいものですね。
【例8】
この手牌も今回の考え方でいくと、
ターツ不足で愚形残りで『速い』は満たしていない。
『安くて遅い手にしない』考え方に基づけば
→『打点のある手牌に進める 』という方針になりますよね。
というわけでソウズ染めと七対子をみて打1p。
オタ風の西は温存したい牌です。
実戦は七対子に仕上がって6400をアガることができました。
【例9】
この手牌は東を鳴いて1000点でアガることはそこそこ出来そうです。
注目すべきは5ブロックが既にできているという点で、
1pにくっついても残さない可能性が高いです。
それに比べて発は重なるとソウズ染めのターツが5ブロック揃います。
そうなった場合に打点が飛躍的にアップするので
1pよりも発の方が価値が高い牌と判断することができるのではないでしょうか。
実戦はメンホンの聴牌まで仕上がりました。
今回のポイント
【1】高い速い・安い速い・高い遅い・安い遅いの4パターン分類を意識し、
遅い手は4番目にならないように3番目を目指す。
【2】高くて遅い手の役は混一色・チャンタ系・七対子など。
いずれも字牌が使える手役で守備面にも有効。
元々速度が遅い手なので他家から先制攻撃を受けた際の受け駒の意識を忘れずに。
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